李勣の策

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それから一刻ほどたった小沛の近くの山峡では、 ※山峡・・・山と山の間の狭くなってる所のこと 「しかしここまできても敵の気配が全くないとは・・・・」 山峡の手前で敵の大将、紀霊は呟いた。 紀霊(きれい) 袁術の武将。重さ五十斤の三尖刀の使い手。 「紀霊様、前方に大分狭くなってる山峡があります。劉備軍はおそらくそこで待ち構えていると思われます。」 この軍の指揮を任されていると思われる軍師が紀霊に告げる。 「なるほどな。けっ、せこいこと考えるぜ。だがこの俺様には通用しないぜ。ガッハッは。」 紀霊は部隊を半分にわけ半分を山峡に進ませた。 「これならたとえ敵を潜ませていたとしても確実に半数は通れるぜ。ガッハッは…」 「では、第一陣、進め!!」 紀霊軍の第一陣が山峡にすすみ始める。 「おい、李勣様の作戦通りやるんだぞ…」 紀霊軍の第一陣が山峡を進みかけたその時、 「おい、この草なんだ?」 紀霊軍の一人が山峡にばら蒔かれた草に気付いた。 「ん?前方が騒がしいですね。おい、そこのお前、何がありました?」 軍師が前方の異変を感じて近くにいたやつに尋ねる。 「あっ、はい。前方の山峡に大量の草が敷いてあるようで・・・・」 「草・・・ですか。はっ、皆さん、すぐに離れてください!!」 軍師が声をあらげて叫ぶと… 「くっ、今だ。火を放て!!」 山峡の上から劉備軍が現れ、火矢を一斉に放った。
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