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頭から程良い温度に設定したシャワーをぶっかけると、そいつは一層暴れ出した。 「おら、じっとしてろっ」 『くっそ、離せっ…ってか、オマエ誰だよっ……うわぁ!…携帯!!携帯死ぬぅっ!!』 「ったく…キャンキャン、うるせぇな……柚木 瑠一 (ゆずき りゅういち)お前の叔父さんだ」 『……っハァ?!』 八重歯を覗かせて喚きまくっていたのが、己との関係を訊いて勢いよく振り向いた… 事によって、シャワーのノズルまでもが、一瞬こちらを向く。 『………ぅわっ!……てめっ…』 (こっのバカ犬……俺まで、びしょ濡れじゃねぇか……) 俺んちの浴室で、大型犬よろしく暴れまくるこいつ… 俺の甥で名を「藍(らん)」。姉の末の息子だ。 そもそも… 何故俺が藍を風呂に入れようと、浴室で格闘しているのか…。 話せば長いが…、勝手に話すから聞きたい奴だけ聴けばいい。
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