7人が本棚に入れています
本棚に追加
倦怠感に引き摺られて、俺は目を覚ます。
何時ものように、黒いソファーの上で寝てしまったらしい。
肘掛けを枕代わりにした所為か、首筋が鈍く痛みを訴える。
「………あ゙ー……」
面倒くさい。
起きて何をしようとも思えず、倦怠感を抱えたまま微睡む。
しかし、無粋なコール音にパチリと目が覚めた。
《tulu lu lu lu …》
早くでろと言わんばかりの音に、仕方なく居心地のよいソファーから起き上がった。
ジャケットを着たまま寝てしまったので、脱いだ。
ソファーの背もたれにジャケットを投げ掛ける。
……勢いあまって落ちたが、見ないことにした。
ワイシャツになって、朝の寒さに幾ばくか頭が冴える。
《tulu lu lu lu …》
結構時間が経ったが、コール音は途切れない。随分と忍耐強い相手だ。
最初のコメントを投稿しよう!