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やれやれ、と漸く受話器を持ち上げた。
『もうっやっと出た!!ワンコールで出なさいよね!!』
イラついたソプラノの声に、顔をしかめる。
朝が弱い俺にしたら、女の金切り声は結構不快感がある。
しかし、AS(ここ)に電話を掛けてきたからには、相手はクライアント。
溜め息を飲み込んで、当たり障りのない何時ものセリフを吐き出した。
「…はい、こちら何でも屋AS(アズ)。ご用件は?」
『……何だか寝起きみたいな声ね?』
……しまった、そこまでは誤魔化せなかったか。
一々言ってくるのは、早く出なかった当てつけなのかもしれない。
『まあいいわ。それじゃあ、本題に入りたいのだけど?』
「………どーぞ」
面倒くさいな……。
クライアントでも関係ない。飲み込んでいた溜め息を吐いてやった。
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