7人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚めて数分でテンションががた落ちだ。
顎に生えてきた無精髭を触りながら、バスタブへ向かう。
ワイシャツとスラックス、あとボクサーパンツを脱ぎ、洗濯機に投げ入れる。
ヒタリと足裏に伝わるタイルの冷たさに、身体が寒さを訴える。
シャワーのコックを捻れば、勢いよく冷水が噴射された。
「……つめたっ」
頭からモロに被り顔を顰めるが、ずっと被っていれば冷たさに肌が馴れていく。
「……明日から、憂鬱だな」
呟いて、自嘲する。
俺にクライアントを選り好みする権利はない。
自分が作り出したエゴ、偽善的活動。
総ては罪滅ぼしでしかない。
チラリと、記憶の端で揺らめくモノを視た。
.
最初のコメントを投稿しよう!