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その日は4月の後半だというのに、とても寒い日だった。
佐藤 竜太郎。
今年17歳になるどこにでもいるような高校生。
それが俺。
俯いて欠伸をした。
目の前が涙で霞む。
今日は何故か普段に増して眠い。
いつも通り学校に通う。
靴を履き替えようと下駄箱を開ける。
今日も5通程度の封筒が上履きの上に重なり置いてある。
誰かも分からない、聞き覚えも見覚えもない女の名前が記入されてある。
封を切る。
5通ともに一通り目を通したが内容を要約すると全て同じだ。
好きです、付き合ってください。ってこんなところ。
こんな俺のどこがいいんだか。
「おい、お前またラブレターかよ」「こんな男のどこがいいのかねえ」って後から来る友達に茶化すように言われる。
「俺だって別に欲しいわけじゃな…「逝ってよし!」
朝からこんなくだらない会話が続く。
まあラブレターって悪い気はしないしな。
むしろ嬉しいよな、なんて思いながらその5枚の紙切れをかばんに突っ込み教室へと歩き出す。
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