prologue

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「エリンギ、食パン、冷凍食品、牛乳2本……」 母親からの買い物メールを表示した携帯を片手にカートを押す。 商品をカゴに投げ入れながら、それでもやっぱり十数分前のことを思い出して自然に足が止まった。 ―――やっぱり、気分なんて良くは無い…… 自分に全く気が無かったとはいえ、自分に好意を抱いてくれている人を1人傷付けた…… だけど無理だった。 友達繋がりではあったものの、短期間で得た彼の印象は"泉にとって"はかなり厳しいものがあった。 ……そう、泉にとっては。 24歳になった泉だが、今現在決まった相手はいないし、決して恋愛経験が豊富な方とは言えなかった。 とはいえこの年齢になれば徐々に周囲から幸せの知らせも届きはじめると言うもの。 たまに"このままではいけない"と焦りもするが、経験が薄いままこの年齢を迎えてしまうと、かえって慎重になりすぎてしまうらしく、未だ交際人数は片手でも余裕で指が余るほどだ。
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