prologue

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恋愛と言うのはどうしてこうも厄介なんだろう。 自分が気持ちに応えられないというだけの理由で、嫌いでもない相手を傷付けなくてはならない。 今までを振り返り、そして総合して考えると、泉は恋愛に対し、実に運の悪い人間だった。 それなりに好きになる人だって出来たし、全くモテないわけでもなく、好意を向けて来る人間だってそれなりにいた。 だけど、いつもそこまでだった。 泉の場合、毎回『好きになる人』と『好意を向けてくれる人』は一致してくれなかった。 自分が好きになった相手には振り向いてはもらえず、自分を好きになってくれた相手には応えることが出来ない。 そんなわけで、世の中には沢山の人から尊敬される偉人がいるけれど、泉の場合、尊敬しているのは専ら世の中の想い合って結婚までした全てのカップルの皆さんだった。 「………、やば!」 レジ横の時計を見て泉は慌てる。 告白してきた相手との時間で予想以上にタイムロスしてしまった。 早く帰ってこの煙草臭くなった服を着替えなくては――― 今日は、ここ2年くらいで恒例になりつつある中学時代の同級生達との飲みだった。
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