2XXX年

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左様な2国が、密約を交わした所以も明解だ。 何となれば、其の2国は他国と対比して、千軍万馬の兵共の。 所謂、軍事力に秀でた国故に。 戦闘に於いては辣腕の、技術も才略をも誇る国が、2つ合わされば怖じる物は無し。 案ずるに、何とも単純。なれど、実に実にし効を奏する妙計である。 而して彼等が端緒として起こすは、超絶的な軍隊が雪雪崩の如くして、己等よりも劣る小国に攻め入った。 宣戦するでも無く、尚且つ急襲とも言える遣り口に小国は太刀打ち出来る筈も無く。 小国は防戦と相成りながらも、強く談合を求めた。 談合に応じ母国への攻撃を直ちに止めるのならば、大国の要件を皆々呑もう、と述べる迄に、彼等は衰幣して。 詰まる所、降伏する、と明言するも同じ。 然れども、彼等は進撃の手を休めず。 以って一方的な、殺戮と破壊の限りを尽くして、彼等は初めて開口した。 降伏セヨ、と。 母国を毒され、談合にも応じぬ大国等に、小国は憤激物の。 なれど、小国には降伏するしか術は残らずに。 自国を此れ以上、陋劣な国の犠牲にしない為にも。 尤も、憤激に任せ抗せども敵は大国、力の差は圧倒的故に食い荒らされるのは、目に見えている。 従って、彼等は降伏を選択するしか無いのだ。 此度の紛擾は、他の大国も我先にと小国を奪略する引き金となり。 明日は我が身よ、と己が国を護る為、略奪されるならば略奪せんと踏んで。 宛ら、其の光景は正にゲームよ。 而して、其の過程で力の無い小国等は、次々と支配下の。 配下におかれた彼等は、常々思う訳だ。何故、と。 大国等に身を削って服す国々の、己が犠牲は愛する家族の為でも、愛しい思い人の為でも無く。 真の安寧を、と抜かす大国の為に何故、と。彼等にとっては四方や拷問よ。 就中、日本も難局に当たっていた。 軍事力の乏しい彼らは、徐々に戦火を広げる大国等の火の粉が、何時風向きを変えるのかと臆していた。 されど、待てよ。彼等の力は乏しくとも、ひとつ、他国よりも秀でた物があるではないか。 其れは、高度な科学技術の。 然様な抜きん出た才で危機を打開せんと彼等が行った策とは、禁忌とされている事で。 そう、世界が戦闘用アンドロイドや兵器を量産しているのに対し、彼等はひとつの物を創るのだ。 否、1人と呼ぶべきか……兎角、彼等は遣り遂げた。 彼等の禁忌。其れは人を創る、と言う人のモラルに反した行いだった。
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