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ディスプレイに並ぶ1と0で形作られた文字達が卑劣で無惨な現実を突き付ける。
僕に降りかかる危険。
恐怖で震え上がる身体。優しく触れる暖かさ。
「我々は君を信じてる。君が新たなる分別屋の勢力にならんことを。勇気を出せ、恐怖を薙祓え。己を信じることが力になる。紅葉くん力を貸してくれ」
眼鏡の男は笑顔で手を差し伸べる。僕は意志とは反する行動をとっていた。―僕にも出来る、そんな簡単に死ぬなんて有り得ない。なんて、頭のどこかで思っていたんだろうか…。
「はい、僕でよければ、力を貸します。皆さんよろしくお願いいたします」
「ありがとう、これより正式に赤柴 紅葉が分別屋の一員となった。逞さんが選んだ(あみだくじで)人材だ、期待しても良いだろう。これでミーティングは終了する。職務があるものは直ちに現場に向かい、それ以外の者は本部に帰還するように!散(さん)っ!」
「御意!」
皆、物凄い速さで走り去って行った。まるで、忍者みたいだ。
「あの…、僕はどうすれば良いでしょうか?まだよく分からなくて」
「紅葉くんには本部に来てもらう。荷物を全部集めて待っていてくれ、迎えが来るはずだ。御家族には報告してある」
「はい、分かりました。荷物……、全部ですかぁ!?家族って、えぇっ!?」
―僕の知らない所でどんどん話が進んでってる。家族も家族だ、悩めよ!僕みたいなのがこんなバイオレンスな世界に飛び込んだら数日後には死亡フラグが立っちゃうよ!
「どうした?荷物取りに行かないのか?」
いやいや、出勤タイプじゃないんかい。まさかの住み込みタイプ!
「そのぉ、何ていうか、絶対住みこ…」
「そうだ、何か問題あるか?」
話してる途中なのに160㎞級のストレートを投げられ、アワアワとしながら首を振るしかなかった。
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