始まり

4/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
授業も全て終わり、残りはLHRだけだ。 担任が教室へ来るのを静かに待つ。担任が遅いのは毎回の事、そのくせ騒いでいると反省タイムなんて物を発動する。 だから誰もはしゃがない。 「たく…、おっせぇな。カラオケ行けねぇだろうが!」 苛々して鏑木は激しく貧乏ゆすりをする。 「落ち着け、鳴兎。今はしゃいじまうともっと時間を食うことになる」 鏑木の機嫌取りの、本城。優しいけどキレるとヤバイ鏑木にいつもついて行く金魚のフン。 「わかった」 鏑木は揺らしていた脚を組んだ。 コツコツと独特な革靴の音が近付く。 ガラッと戸が開き、担任が入って来る。 「すまんな、会議が長引いてな。さぁ、HR始めるぞ」 白衣に眼鏡、整髪料でツンツンに立てた髪。僕等の担任、藤井 逞(ふじい たくま)。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!