転校生は帰国子女

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「確か……隣の席の……」 近藤、とかいったな。俺の挨拶を二度も無視した奴だ。 「こっからが本番だぜ、転校生。たっぷり思い知らせてやるよ」 ――見事な噛ませ犬っぷりで。 気づけば、周りを囲まれていた。頭から血がドクドク流れ、新品の制服が汚れてしまった。 これは早く帰って洗わなければ、落ちなくなってしまう。 「59円の卵も買えなくなった。はぁ~……」 もう間に合わない。 日本のタイムセールは戦場。 この遅れは致命的だ。 「何わけのわかんねえこと言ってんだテメェ!!」 よく吠えるガヤだな。 トーク番組にはかかせない存在だが……ウザい。 「なぁ近藤君、俺なんか気に障る事したか?」 恐らく主犯は近藤だろう。なら尚更この状況が理解できない。 コイツに恨まれる理由はない。 むしろ挨拶を無視されて不快な思いをしたのは俺の方だ。 「……目ざわりなんだよ。帰国子女だかなんだか知らねーが、ちやほやされていい気になりやがってよ」 いい気に?俺が? そう見えたのかな。 まぁ確かに少しは満更でもない感もあったとは思うけど、8割くらいは迷惑だったよ。 てか理由それだけかよ……。
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