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「うぉ……っ!?」
洗面所の鏡を見て驚いた。顔全体が腫れ上がり、所々に青紫色の跡が点在している。
汚れた上着を脱ぐと、体中内出血の跡や、切り傷があった。頭にもでっかいたんこぶと血の塊。
「クク……こりゃまた酷くやられたな」
人が気絶してるときに好き放題やりやがって。
「ハァ……うまくいかないもんだな。何一つ……」
自分でもどうして日本に来たのかわからない。
母さんの生まれ育った町にきて、母さんの大好きだった桜を見れば、俺の怒りや憎しみが和らぐと思っていたのだろうか。
空っぽな心が満たされると、そんな世迷い言を盲信していたのか。
こっちに来て真っ先に有名な桜並木を見に行ったが、何も感じなかった。
何を期待していたのだろう。
学校にも、そこら中に桜は咲いていて、あんなに綺麗なのに……。
平和な日本はみんないい人で、思いやりがあって、楽しく暮らせる……。絵空事……。
「どうして……何も変わらないんだ……」
むしろこっちは陰湿で、自分勝手で、根っこが腐ってる人間が多い気がする。
偏見だと信じたい。俺の勝手な思い込みで、サンプルが少な過ぎただけ。
身体は疲れきっているはずなのに、今日も眠れなかった。
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