厚化粧

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「みんなごめんね……ごめんなさい……うぅ……」 「い、行こっか?」 「……だね?」 教卓で俯く担任に会釈しながら、いそいそと教室を出て行く生徒たち。 「先生は大丈夫だから……、みんなも体育館に行って……グスッ……」 その言葉で、担任の周りに群がっている男共もおもむろに教室の外へ向かい始めた。 俺も行くか。 席を立ち、教室を出ようとすると――― 『ガシッ!』 「え?」 後ろから腕を掴まれた。 「待ちなさい。有蔵君」 すっかり泣きやんだ担任が、別人のような口調で言った。 教室にはもう俺しかいない。
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