転校生は帰国子女

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「近藤君!お隣だから、有蔵君にいろいろ教えてあげてね」 「……はい」 俺は促されるままに座り、やや俯き加減な隣席の男(恐らく近藤君)に声をかける。 「俺、有蔵弦。よろしくな」 日本は挨拶を重んじる国らしいからな。社交辞令ってやつ。 「………」 なんで無視すんだ? 声小さかったか? 「あの……、よろしく」 「………」 言い直したのに……。 まぁ、いい。よくわからんが、些細なことだ。どうでもいい。 HRが終わると、女子が群がり、質問攻めにされた。 英語ペラペラなの?とか、英語で何か言ってみて?とか、幼稚な質問ばかり。 アメリカ育ちがそんなに珍しいか? 平和ボケした日本人の暇潰し。 「「ええ!?一人暮らしなの!!?」」 「……あぁ」 「え~!?ご飯とか自分でつくるの?大変そ~」 「まぁNYのときから炊事洗濯やってたから……」 「「凄~い!」」 聞かれた事だけに応え、休み時間が終わるのを待った。
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