転校生は帰国子女

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――行かなかった。 指定された場所がどこかもわからない。 これも平和ボケした奴らの暇潰しなのだろう。ベタ過ぎてつまらないな。ベターっていうよりビター……不覚。 翌日、何事もなく一日が過ぎ、再び放課後。 今日も女子A・Bに下校を誘われたが、晩飯の買い物があるからと断った。 上靴を靴箱に戻し、外靴を履いていると、見覚えのない男に声をかけられ、校舎裏に連れて行かれた。 「アメリカ育ちのおぼっちゃんよぉ。ちやほやされてあんまし調子こいてんじゃねーぞ」 体育館横の倉庫前で、五人の男達がたむろしていた。 進学校と聞いていたが、こういうのは所構わず居るものなのか。 しかし、こいつらの制服は中々個性的で共感できる。 カラーTシャツを中に着たり、ブレザーの変わりにパーカーを着たりしている。 タバコは頂けないが、個性があるのは感心。 「帰国子女様は……、さぞかしお金持ちなんだろーな?」 「僕らにも恵んで欲しいな~」 アホ面丸出しで雁首揃えて。 何ニヤついてんだこいつら。
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