天界の姫君

3/9
前へ
/97ページ
次へ
「ホタル?そんなに怒んないの。皆、君を心配してるよ」 「……ミケ」  私の頭上に浮かぶ天使の輪で、遊ぶ三毛猫。今は猫の姿をしてるけどれっきとした人間で、私の護衛に付く優秀な男。 「僕からすれば、心配してくれる親が居るだけ有難いけどね」 ミケは赤ん坊の頃“地上”のゴミ捨て場に捨てられ、私の両親が拾って天界まで連れて来た。 赤ん坊の頃から一緒で、兄弟のように強い絆で結ばれてる。 人間から猫、猫から人間に変身できる特殊能力を身に付けた護衛ではトップの男。彼の魔法や剣術は群を抜いて素晴らしい。 「ミケも私に神使いになって欲しいの?」 「勿論。神使いは凄く名誉な事でしょ。天界に存在する二万近くの天使の中で、一握りしか与えられない特別な称号。ホタルが昇格すれば、僕の鼻も高い」  戸惑う私の頭上で、自慢気に鼻の下を擦っている。  確かにこの機会を逃したら、神使いに為れるチャンスは二度と無いかも…… けど今まで“主天使昇格試験”でさえ散々だった私に“神使い昇格試験”が受かるのかしら?
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加