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「大丈夫だよ」
「またそんな適当に……。自信ないし……」
「適当じゃないよ。ホタルは必ず受かるさ。今までずっとキミの側に居て、キミだけを見てきた僕が保証する」
頭上から飛び降りると、人間の姿に変わって私を優しく抱き締める。
人間姿のミケはやっぱり綺麗。
猫のように丸い瞳と白い肌、黒に所々金色が混じったフワフワの癖っ毛が鼻にかかってくすぐったい。
「そう言うなら、頑張ってみる」
「それでこそ僕のホタルだ」
ミケは16年、自分の人生を捨て、天界で私の護衛を努めてくれた。
私はそんなミケに、少しでも恩を返してゆけたらと思う。
「頑張るからね」
「うん」
「その代わり、昇格したらご褒美に一つだけ願いが叶うでしょ?」
「ん?」
「それをミケに。マリア様にお願いすれば、両親を捜す手掛かりを見付けてくれる」
大きな瞳をより見開くミケの腕からすり抜け、今だ呑気にお茶を啜る両親と向き合う。
「お父様、良い?」
「……そうだな。考えておく。まずはお前が合格しないと、話にならんがな」
「分かってるよ、もう」
「ホタル。ミケちゃんの為にも頑張りなさたお父様と、大賛成の優しいお母様。
「ラファエル王、王妃様。有り難き幸せにございます」
ミケは戸惑いながらも、芝生に片膝を付き深々と一礼した。
強がってるけど、きっと自分を産んでくれた両親に逢いたがってるんだよね。ミケ。
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