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ユクモ村の昔話の一つにこんな話がある。
昔、貧しい木こりの青年がその日の食にありつくために一匹のガーグァを切り殺した。その際にガーグァは黄金の卵を産み落とした。そして、ガーグァはその青年に話しかけてきたと言う。
「あなたに富を与えます。その代わりにこの子を大事に育ててください」と
青年は不思議に思ったが、その黄金の卵を古びた家に持ち帰り、大切に温めた。そこから、青年の人生は一変した。木こりの薪が飛ぶように売れて転がり込むようにお金が青年の元に集まった。
卵が孵ってからも、高級な餌を雛に与えて育てた。やがて、青年は温泉を幾つも掘り当て、村一番のお金持ちにのし上がった。美人な妻を得て、贅沢の限りを尽くしたそうだ。
ある嵐の日、村に迷い込んできた高貴な役人の一行が青年の宿に泊まった。青年は役人に取り入ろうと、豪勢な料理を振る舞った。しかし、役人は満足しなかった。そこで、青年は美味しいに違いないと思い、黄金の卵から生まれたガーグァを丸焼きにして役人に食べさせたそうだ。
だが、そのガーグァはまるで泥の味がしたと言う。怒った役人は青年の妻を切り捨てた。その後、青年は狂ったように山に入り、以後、青年の姿を見た者は居ないという。
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