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確か、明るい空だった。
小さなトンネルをぬけて、自転車とすれ違う。
薄黒く灰色の壁にかかれた大きいような小さいようなスプレーの落書きを横目に、私は小さな坂をあがる。
坂の上の木や
信号の青、赤の点滅。
向こうの通りを早足で過ぎていく人が1人。
その日私は
この鮮やかな色の中で何を見ながら足を動かしていたのかは、まったく覚えていない。
左の小道から十字路に差し掛かる横断歩道の真ん中から50、もしくは30㎝ほどわきに、
小さな 「あなた」 はいた。
生き物の名称で分けると「猫」。
...ただ、
これを書くにあたり、
「あなた」を、「もの」や「猫」と記すのは 何か違うと 私は思った。
おかしく思う方は
多々いると思うが、私はあなたを「あなた」と記したい。
稚拙な文章能力のため
私が文字に現せない
「何かが違う」の「何か」を
なんとなくでも、感じることのできる方がいらっしゃればうれしいと思う。
私が、ふと「あなた」に気づいたのは....
横断歩道の2、3メートル前だったろう。
一瞬、驚いて
足を止めた。
本当に一瞬だけ。
その1秒後には
自然と前へ進んでいた。
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