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とりあえず自分の部屋へと続く扉を避難させ、俺は自分の部屋の前に立ち尽くす。
これは本当に酷い。俺の置いていた荷物は天井に押しつぶされ、その上には上の住人の物であろう私物が所狭しと敷き詰められているのだ。
何なんだこの本やDVDの数は。どう考えてもおかしい。というか何故本棚がない。本があれば本棚があるはずなのにここにはそれがない。
本が無造作に床にちりばめられ、ゴミなども部屋の隅に固められている。何故捨てないのだろうか。ゴミが好きなのか?
まず大家さんに言った方がいいのだろうか…それより、俺の荷物は大丈夫……
「な、ななな、何よこれぇーーーー!!!!!」
俺が下敷きにされたマイ荷物の心配をしていると、二階から驚きの声が聞こえてきた。
気持ち良く驚く人だ。俺もそんな風に素直に驚ける人間になりたいな。
感心していたがある事に気づいた。
これは上の住人に会うチャンスではないだろうか?
上の住人の足音から察するに多分下に来るつもりなのだろう。向こうから来てくれるとは好都合だ。
10秒もしない内に扉は開かれた。肩で息をするその女性を見て、俺もさっきの驚愕の声ほどではないが驚かされた。
何故ここに、いや、まさかこんなに近くにいたのか?
それは確かに上雲彪華だった。
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