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俺が驚きのあまり言葉も失い、呆然としている中でも上雲は活動していた。
誰に断るでもなく、勝手に土足で人の家の廊下を歩いて真っ直ぐ俺に向かってくるではないか。
何だか恐い顔をしているような気がするが、常識で考えれば上雲の部屋の荷物の重さが床の限界値を突破し、俺の部屋でいう天井が落ちてきた。
と考えるのが普通。妥当だ。
そしてそれから導きだされる答えは一つ。謝ざ……
「何してくれたんだお前はーー!!!」
うむ、はっきり言わせて貰おう。逆恨みもいいところだ。
だが上雲は何の迷いもなく俺に真っ直ぐ右ストレートを放ってきた。
女の子だからなのか殴り方が少々変だったが、流石に不意を突かれては避ける事など出来ずモロに頂いてしまった。
だが不思議と痛くない。手加減してくれたのかだろうか?
「ちっ、タフな野郎だ!まぁ今日のところは見逃してやるよ!!」
そう言って上雲は俺に背中を向け、もと来た道を戻り始めた。
一つ目に言わせてもらうとしたら、俺がタフなのではなく上雲の力があまりにも弱すぎる事。
もう一つ。何故俺が勝手に悪い事になっているんだ。それが一番気がかりでならない。
もう玄関から出ようとしていた上雲だったが、ようやく本当の目的を思い出したのかすぐにダッシュで俺の目の前に舞い戻ってきた。
と思った次の瞬間には胸ぐらをつかまれ凄い目つきで睨まれてしまった。
「おいお前!これは一体どういう事なんだ?説明しろ!!」
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