プロローグ

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人には話したくない秘密の一つや二つあるものだと私は勝手に思っている。 私にも話したくない過去というものはある。 『笑う門に不幸女』―――誰が最初に呼び始めたのかは知らないけど、いつの間にか私の通り名はこうだった。 私は滅多に笑わない。その私の笑顔を見ると不幸な事が起こるらしい。 元からあまり笑わない人間だったが、こう呼ばれると更に笑えなくなる。 私が笑うと不幸な事が起こるから―――などと、バカな事を言うわけではない。 そんな面白くない話しを聞き、それを陰でこそこそ言う人間がいるクラスで楽しいわけがない。 そんな私にも一人の親友がいる。その子と話している時が私の救いの時間だ。 でも一人には慣れているので気にならない。というより、気にしたら負けなのだ。 一人に耐えられない人間は心が弱い。他人に頼ってばかりいるどうしようもない人間だ。 そう、だから私は誰にも頼らない。強くならないといけない。 自分の道は、自分で決めないと意味なんてないのだから。
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