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「お~い足長……じゃなくて空木!ノートコピらせてくれないか?」
「あ、うん、いいよ、はいっ」
「サンキュー!」
そう。俺の名前は空木。何故あいつが足も長くない俺の事を足長と呼んだかというと、あの言葉には続きがある。
【足長おじさん】
聞いた事のある人も多いだろうけど、簡単に説明するなら人知れず親切な事をする人という認識で間違ってはいないと思う。
そして何度も言うようだが、足も長くない高校生の俺が何故そんなあだ名をつけられているのかと言うと、親切だからだ。
困ったらまず俺を頼れ。
クラスの奴がよく言うセリフだ。それに気づいたのは五月くらいだったかな。
中学が同じだった奴が俺の事を話しているのが聞こえてしまった。
勘違いしないように言わせてもらうと、聞き耳をたてていたわけではなく、そいつの声がでかく、聞く気なんてなかったが勝手に耳に入ってきたというのが正しい解釈だと思う。
あいつに嫌な事を頼んでも断られない。あいつは超がつくほどお節介だからな。
そして半信半疑だったクラスメイトは、嫌な掃除当番を代わってくれと俺に言ってきたのだ。
俺は断らず、喜びもせず、淡白な言い方でその申し出を了承し、ついたあだ名が足長おじさん。
中学の時からずっとこれだ。
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