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ある日の午後。学校帰りに、僕は久しぶりにあの公園に行ってみた。あのぼろぼろのジャングルジムやブランコを、もう一度だけ見てみたくなったのだ。
だが公園に辿り着いた時、僕は目を疑った。あのぼろぼろの遊具は、もうどこにもなかった。いや正確には、“綺麗に”なっていた。
あれもこれも塗装が上塗りされて、まるで新品のように見える。あの少年がよく遊んでいた砂場もしっかり均されて、今や砂山や穴ぼこなんてどこにも見当たらなかった。
しかしよく目を凝らすと、平坦な砂場の中に、一ヶ所だけ不自然な隆起があるのが見えた。
何だか気になって、手で掘り返してみると、そこから小さな青いスコップが一つ出てきた。このスコップには見覚えがある。以前、少年と砂遊びをした時に貸してもらったものだ。
そういえば、返すのを忘れていた。しかしこのスコップは、あれ以来ずっとここに置き去りにされていたということか。
僕は苦笑を漏らして、そのスコップをカバンに入れ、持ち帰った。
もちろん、掘り返した砂を、しっかり元に戻しておいてから。
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