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それ以来この公園に入り浸るようになったのだが、やはり無断欠席が祟ったか、数日も経たないうちに、お子さんが学校に来ていない、と教師から連絡が入った。
それでまた、親とは大喧嘩……。
いや、もうそんなことは思い出したくもない。
だから僕は何も考えず、ぼんやりと周囲を見回すことにした。
すると、ふと奇妙なものが目に飛び込んできた。公園の隅にある、砂場と覚しきその場所に、少年が一人座り込んでいるのだ。
幼稚園児……にしては、少し大きい。小学校の低学年くらいだろうか。だとするなら、今頃は学校にいるはずの時間なのに、どうして。
まあ何にしろ、ここに他の人間がいるというなら、僕は立ち去るだけだ。他の無人の場所を求めて。
どうやら、向こうは僕の存在に気がついていないようだ。僕はそっとブランコから立ち上がると、なるべく音をたてないように公園の出口へと歩いていく。
だが、公園から出るその瞬間。誤って、足でぼろぼろの門を蹴ってしまった。がっしゃーん、とけたたましい音が鳴り、僕は思わず身を縮ませる。
そしてふと視線を感じて、恐る恐る振り返ると、先ほどの少年とばっちり目が合ってしまった。
僕は弾かれたように駆け出して、一度も振り返ることなく公園を後にした。
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