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翌日、僕はまたあの公園にやって来た。昨日あの子供がいたのはほんの偶然で、今日は誰もいないと信じて。
念のため、入り口からこっそり中の様子を窺った。
よし、大丈夫。誰もいない。
僕は公園に入り、ブランコに腰かけて安堵の息を吐く。
しかし次の瞬間、誰かに背中をぽんと叩かれた。僕は思わず悲鳴を上げて、慌ててブランコから腰を上げた。戦々恐々としながら振り返ってみると、そこにいたのは昨日の少年だった。
「おにいちゃん、きのうも来てたよね」
何故。どうして。どこから現れた。
僕の頭に浮かぶのは、疑問符ばかり。
返答が無いのを訝しんだのか、少年は不安そうに眉をひそめた。
「……もしかして、ぐあい、わるいの?」
「いや。そんなこと、ない。大丈夫」
僕はやっとのことで、早口にそう返した。
「そっか。よかった」
ちょっとだけ微笑んで、少年は言った。
気まずい。少年は何かを期待するような眼差しを向けてくるが、もしかして構ってもらいたいのだろうか。しかしそもそも僕には、こんな見ず知らずの子供とコミュニケーションを取る気など毛頭ないのに。
「ごめん。帰る」
僕はそれだけ言って、振り返ることもなく公園から出ていった。
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