五月病

5/12
前へ
/12ページ
次へ
 次の日も、また次の日も、僕は公園にやって来た。というのも、結局この公園以外に人気のない場所を見つけられなかったからだ。  しかし、案の定というべきか、いつ来ても公園にはあの少年がいた。僕が苦労してやっと見つけた公園は、もはや僕の居場所ではなくなりつつあった。あの少年がいる限り、僕はどこへ行っても、いつまで経っても、安息の地を見つけることができないのではないか、という気さえしてくる。  一体何なのだろう、あの少年は。いつまでもあそこに居座り続けて、そんなに僕の邪魔がしたいのか。  怒り、だろうか。両親と喧嘩している時にも感じられるような黒い感情が、むらむらと心の底から沸き上がってくる。  そう、所詮相手は小さな子供だ。少しだけ強く言って聞かせれば、この公園にも寄り付かなくなるに違いない。  そう考えた僕は、これまで避け続けてきたのとは逆に、とうとう彼に接してみようという気になった。  明日。明日あの少年を見かけたら、二度と公園に近づかないようにさせてやる。  僕はそう、胸に刻んだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加