五月病

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 次の日も公園に行った。だけどその日は、あの少年はいなかった。久々に、一人っきりだ。  何もすることがない。だけど、何も考えなくていい。ここしばらく、ずっと待ち焦がれていた時間だった。  ブランコに腰かけて、長らくぼーっとしていた。何時間、そうして過ごしていただろう。そのうち、腹が減ってきた。ふと空を見上げると、太陽の真っ白い光が目に刺さって、思わず顔を伏せた。  腹が減った時のため、一応食料は持ってきてあった。ポケットの中に詰め込んできた菓子パンを取り出して、袋の口を開ける。  しかし、パンにかぶり付こうとしたその時、公園の入り口の所に人影が見えた。小さくて、黒い影。目を凝らして見ると、どうやらそれはあの少年のようだった。  向こうもこちらを見つけて、とことこおぼつかない足取りでやって来た。  背中には黒いランドセル。学校帰り……にしては、少々時間が早いように思えるが。 「なんだ、お前。学校行ってたんじゃなかったのか」 「いこうとおもったんだけど、やっぱりいけなかった」 「なんだよ、それ」  途中でおじけづいた、ということか。こいつは結局学校まで行けなかった上に、ランドセルを背負ったままこんな時間まで足踏みしていたのだろう。馬鹿馬鹿しい話だ。
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