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「俺は漕艇部だって言ったろ。黒木はどうすんだ?」
俺達の入学した海青院高等学校は、船員を育成するための専門学科がある特殊な高校なので、遠方の県外からの入学希望者も多い。
そういった生徒のために校舎から少し離れた、練習船桟橋のすぐ近くに寮を備えている。
俺も黒木も他県からの入学なので、寮に入っている。
入学式の二日前から準備で寮に入っていたし、黒木とは同じ二人部屋なのでいろいろと話をしていたのだ。
「どうしようかな~。野球部もいいけどサッカーもいいし。バスケも捨てがたいし。」
「全然決まってないんじゃん。じゃあ漕艇部にしようぜー。」
「ええー、何か全く想像できないし。それにマイナーだよ~。モテないよ。」
「いやいや、この学校では結構有名らしいぞ。体育会系丸出しで、入部しても辞めていく奴が毎年半分くらいいるって。寮生会長も漕艇部だってさ。」
話に割り込んできたのは、黒木の隣の席の瀬戸(せと) 太一(たいち)。
こいつも寮生で部屋が俺達の向かいの一人部屋に住んでいる。
身長は175cm以上ありかなり高い。
サラサラヘアーを真ん中で分けて、切れ長の細い目には黒縁眼鏡をかけているが、その整った顔立ちによく似合っている。
背も高く控え目に見てもイケメンの部類に入る瀬戸は、すでにクラスの女子から注目を集めている。
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