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「記憶喪失って事? いや、でも私だって子供の頃の記憶とか忘れて――」
「……違うんです!!」
女性の言葉に被せるように、語尾を強めて否定するミーシャ。
それに対して若干驚きを見せながら、女性はどういうことかと、尋ねる。
ミーシャは俯き、今にも消え入りそうな声で、その問いに答えた。
「何も……知らなかったんです。」
「知らな、かった?」
「九歳児が言葉すら喋れなかったなんて……おかしいでしょう?」
女性は、何か言おうと口を開きかけたが、何一つ言葉が浮かばず、虚しさをあらわにし、俯く。
「……ごめんなさい。変な話を――」
「……それ色んな人に聞いてるの?」
「え、ぁ……まぁ……」
「そういうの止めた方がいいよ」
「え?」
「そうだ!! 私、凄腕の探偵知ってるから紹介してあげるわ!!」
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