濁りはじめた清水

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男が、高層ビルの三十階から、東京の夜景を眺めていた。 『現在、アフガニスタンにおける米軍の軍事--中国では、中華人民民主主義戦線が--』 画面が馬鹿デカイ液晶テレビが、煌々と光を放ち、世界の紛争状況を知らせ続ける。 もはや世界では、戦争は常識となっており、止めようが無かった。 金は湯水のように、戦車やミサイル等の為に使われ、ロボット工学は戦争の為に発達した。 生命も、戦争の為に生み出され、散って逝った。 「この世界に、救いは無い、か。ならば、理想郷を目指そうではないか。私ならば、私達ならば出来る」 男は、拳をぐっと握り締め、紡ぐように、呟いた。 「……先ずは腹ごしらえだ」
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