亡き母

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今は、亡き母親の声。 脳裏に鮮明に蘇る。 ――雪なんて降ったことのないこの街に、珍しく雪が降ったとき、山の頂上の展望台で告白すると恋が叶うんだよ。 ――杏ちゃんも大きくなって、素敵な男の子を見つけたら、そこで告白してみたら? ――ママは、そこでパパに告白したんだよ。 幼い頃の冬の寒い日。 幼稚園に母が迎えに来た帰り道。 コンビニで買った温かい肉まんを母と半分こして、口にほおばりながら母が私に言ったのを、今でも鮮明に覚えてる。 雪が降る中、山の頂上に行けって? そんなの無理に決まってるじゃん。
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