0人が本棚に入れています
本棚に追加
今は、亡き母親の声。
脳裏に鮮明に蘇る。
――雪なんて降ったことのないこの街に、珍しく雪が降ったとき、山の頂上の展望台で告白すると恋が叶うんだよ。
――杏ちゃんも大きくなって、素敵な男の子を見つけたら、そこで告白してみたら?
――ママは、そこでパパに告白したんだよ。
幼い頃の冬の寒い日。
幼稚園に母が迎えに来た帰り道。
コンビニで買った温かい肉まんを母と半分こして、口にほおばりながら母が私に言ったのを、今でも鮮明に覚えてる。
雪が降る中、山の頂上に行けって?
そんなの無理に決まってるじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!