亡き母

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凄く寒いけど 雪は冷たいけど ひっぱってくれた翔の手は温かい。 人って、こんなに温かかったんだね。 私は、山道を歩きながら、雪を丸めて、翔に向かって放り投げた。 「イテッ!!おぃこら!!杏!!」 「キャァァァ!!あははっ♪」 「“あははっ♪”じゃねーよ!!」 翔と登った山道は、凄く凄く楽しかった。 そして約2時間、冬の雪山を登り続け なんとか頂上に着いた。 「疲れたね…」 「だな…」 長い長い沈黙が続く。 言わなきゃ。 伝えなきゃ。 でも言えない。 フラれるのが怖くて。 もう“友達”のままでいいじゃん。
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