~ デビュー ~

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~ デビュー ~

ケビンは、ハッとした。 「カヤノ・ミク!たしかにあの少女の名前だ!!それが、ミセスミクシィ?」 「TDSのキャストになり私は必死にがんばりました。 決してさぼったことは無かったように思います。 というか、さぼれなかったんです。いつも近くでNさんが見つめているような気がしたから・・・・ でも、辛いとか仕事がいやになったと言う事は一度もなかったわ。 だって、本当にハンガーの仲間はチームワークが良くて、ゲストに一生懸命サービスをしていたんですもの・・・・ 今の私があるのはハンガーに勤務したおかげだと思っています。 ただ、長い間ずっと、いつも頭の片隅に決して消えることの無いNさんの顔。 もし、あの時、再会できて話が出来ていたら、悲しい出来事でなく、きっと楽しい経験となっていたはずだと。私の人生も・・・ 一瞬だけでも良い、彼と話がしたい。 その強い気持ちでケビンにそれを実現するための任務をお願いしました。 もちろん、今現在の自分の立場やこれまでの人生に不満があるわけではありません。 そして、自分の過去を変えることで、もしかするとあの時キャストになっていなかったのではないか、もしそうだとすれば、ディズニーでの仲間やゲストとの楽しい時間もなく。いまの自分はここにいないのではないか・・・と ためらいもありましたが、Nさんとの再会への気持ちが勝っていました。 そして計画を実行しました。 ねえケビン、Nさんの延命をした2回目の人生でどんな変化があったの?」 ミクシィの質問にケビンは答えた。 「それが・・実は・・・延命したのですが・・・結果は同じでした。 Nさんの運命も少女の運命もなにも変わらない、悲しい結末になりました。」 ミクシィはやさしい声で言う 「そうなのね。それは私自身が一番よくわかっているのよ。 ケビンが30年前の過去へ行く前に、わたしは運命が変わったときに自分自身が気が付くかどうか目印をつくりました。 それは、このフューチャーライドカードです。これは最初の人生の時に、レイジングを去るときNさんの形見としてもらったICチップをはずしたカードです。 このカードに『ケビンお願い』と書き、身に付けて、ケビンの帰りを待ちました。
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