~ 先輩 ~

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「あんたたち久しぶりに会ったのになによ!ひとのことを妖怪だの主だのオツボネだの あんたたちこそ、30歳代の後半になってるんだから早く結婚しなさいよ!」 「大きなお世話です。好きで独身やってますから!」 二人声を揃えて言い返した。 ミクはこらえきれず大声で笑ってしまった。 カヨコが言う 「でも、こうして会うのも5年ぶりかしら。 2008年頃にハンガーのキャストが大学を卒業し就職が決まり次々に退職していって、みんなそれぞれの道を歩いていたのにね~。 2010年から一年もかけて行われたハンガーステージ大リハブ、すごかったね。 内装工事で半年、ダンサーの訓練で半年。 客席を3階建てにし、5,000人収容、ショーの内容もパワーアップしたね。」 アサミが続ける。 「そうそう、フライングフィッシュのワイヤーが透明になり、ファイヤーバードの落下高度が50mにアップしたり、フォグが四方八方から噴射するとか・・・ 以前とはずいぶん変わったね。 さすが『ミスティック・リズム・バイ・シルクドソレイユ』だね。 でも、このリハブのせいで退職していた元キャストが召集されたわけね。」 カヨコが 「そ~そ~。突然人事部長のジャイさんから電話がくるんだもの 『おい、オカヨ帰っておいで仕事だよ!』って強引すぎるよね! 『今度のミスティックは今のメンツじゃゲスコンを回せないんだ、だから来てね!』 だって 『も~、ジャイさん。私、いまふつ~にOLやってるんですけど。それに、もう年だし』 って言ったのに 『年は関係ない!Nさんはあんたよりずっと高齢で入って来たじゃない。 お願い、あんたが必要なの!ヒロハシ・アサミもOKしたし、ね!』 って言われて、戻ってきたんだ。」 「ちょっと!オカヨ、その話、はじめて聞いたよ! 私は、ジャイさんにオカヨがOKしたからって言われたので、じゃあってことで・・・・」 「二人とも、ジャイさんにやられたね。 あっ、ミクちゃん。ジャイさんって、元ワーキングリードの『クロダトモエ』さんなんだけど」とシズエが笑いながら言った。 「やられたーっ!今度会ったら文句言ってやる~!」 ミクは、突然現れた先輩キャストの無駄話につきあっている間に、ブレイクの時間が終わりに近づいた。 楽しいひとときだった。 まだ話しは盛り上がっていたが、そっと立ち上がりオンステージへ向かった・・・
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