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そして、当然クロストレーニングが始まったんだけど。
みんなあまり気乗りがしなかったようだった・・・・
そのとき、Nさんが自ら『レイジングスピリッツ』のクロスを申し出たの。
Nさんはこう言ったの
『TDSに来園されるゲストは1日平均2万人、そのうち半分は子供連れのファミリー
そして半分の半分の5千人が子供さん。
そしてそのまた半分の約2,500人が身長140cm以下の子供さんです。
つまりせっかくインポートしても、2,000人以上の子供さんがレイジングに乗りたくても乗れずに帰って行きます。こんな悲しいアトラクションって他にないと思います。
全員がレイジングまで来ないとしてもかなり多くの子供さんが目の前まで来て乗れないことがわかりガッカリして帰ります。
そんな子供さんに何か一つでも夢を与える対応ができればと思います。
何ができるのかはわかりませんがクロスで頑張ってみたいと思います。』
ってね。
その話を聞いたとき、はっ!としたの。
それは、ナースの仕事は救いを求めてくる人に手を差し伸べ、そして感謝される。
これって自己満足なのかもって思えてきた。
考えてみると、ディズニーに来るゲストは楽しい体験をするために来ているのに、予想もしないケガや病気になり、救護室へ運ばれ、場合によってはそのまま退出になることもある。そんな悲しい経験はだれも求めていないはずよね。
私がオンステのキャストだったときは、傷病ゲストを救護室にエスコートしてゲストサービスが完了したと考えていたけど、そのゲストがその後どうなったかなんて考えても見なかった・・・
私は決意した、『私の力でなんとか多くのゲストを救護室からオンステに帰す』って。
そして、猛勉強して医師の資格を得た。そして戻った。
で、今はPFAにいるわけ。」
ミクはじっとドクター・カクライの話を聞いていた。
「ミクちゃん、ディズニーで一番大切なのは、キャラクターやアトラクションのスリルや演出、施設の造りのすばらしさとかじゃないんだよね。やっぱり『キャスト』なんだよ。
お願い、すばらしい『キャスト』になってね!」
と言いPFAに戻って行った。
ミクはこのときまだ、ドクター・カクライの話の本当の意味に気がついていなかった。
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