~ ケビン ~

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~ ケビン ~

「もうすぐ灯りがつき退出がはじまる。私がステージ前にいなくてもゲストは退出を始めるに違いない」 ミクはせっぱ詰まってどうしていいかわからない。 「ミクちゃん!大丈夫!」 「あっ!カクさん!!どうしてここに?」 「ファイヤーバードをやってる『マッチョ』がPFAまで知らせに来てくれたんだよ! 彼女も元ハンガーのキャストでハンガー時代からゲストの動きに敏感だったの。 今の回のミスティックのカーテンコールの時にゲストの動きに気がついたみたいね。 さすが『マッチョ』って感じね。 それでね。今からステマネのハラさんがPAで臨時アンコールの案内をするの。 フライングフィッシュ役の『ナミナミ』がアドリブでダイブピットへ35mダイブをやることになったの。 そう、彼女も元ハンガーよ。これで約10分間退出までの時間が稼げるわ。 その間に、3人の騎士の出入り口からバックステージを通ってPFAに女性をエスコートしよう。」 「お客様、歩けますか?」ドクター・カクライがたずねる。 「ハ・イ、 ナ・ン・ト・カ・ア・ル・ケ・マ・ス」女性が答える。 「じゃあミクちゃん行くよ!」 ミクとカクライは、妊婦の女性を両側から抱え歩き出した。 会場内は、フライングフィッシュのスーパーダイブに大歓声があがっていた。 PFAに着くやいなやカクライは、ナースに指示を出す。 「すぐにCFAランを要請してちょうだい! それまで、奥のベッドで休ませるから!」 「はいっ!かしこまりましたドクター!」 カクライは、ミクと共に女性をベッド連れて行く。 「奥さん、予定日はいつですか?」 「2・シュ・ウ・カ・ン・ゴ・デ・ス」 カクライは女性に質問をしながら診察を行っていたが・・・ 「大変!もうお水が出てる!陣痛が始まってるのね!」 カクライは事態が急を要することを理解した。 すぐ、ナースに指示を出す。 「各ロケーションにPFA満床の連絡を入れるよう手配して! あと、CFAランの人以外は病室に入れないようにして! たぶんCFAランが来ても病院へ搬送できないと思うからここで出産させることになるわ。 産婦人科医をここまで来てもらえるよう要請して! それまで私がやる!」
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