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引継ぎを済ませたカクライと共にミクは病室の外へ出てきた。
「あんたたち!仕事はどうしたの!
こんなに大勢で来たら、ハンガーステージが空っぽでしょ!」
先ほどの歓声の主は、ハンガーのキャストとミスティックのダンサー達だった。
「カクさん!もう6時半ですよ!きょうの仕事は終了!
それより、すごいですね!リゾートで赤ちゃん誕生なんて!
カクさん、ミクちゃんお疲れ様でした!!」
大きな拍手が起きた。
~~~~~~
ミセスミクシィが、懐かしそうに昔の出来事をかたりながら言う
「この妊婦さんの女性は、アメリカ人だったの。
TDSのミスティックリズムの評判を聞いてずいぶん前からどうしても観てみたくて仕方なかったそうなの。
子供が生まれるとしばらくは遠方へ旅行できなくなるから、出産予定日が近づいていたけど、ご主人の了承を得て一人で日本へ来たということだったの。
無謀というか、大胆というか・・・
でも、ここまで熱狂的なファンがいるのもディズニーならではですけどね。」
ミクシィは笑いながら続ける。
「ところで、みなさんの知り合いに、こんなに熱狂的なディズニーファンはいますか?」
WDFRの会議室内がざわつく。
「はい!」ケビンが手をあげて立ち上がった。
「私の母が、その女性と同じようにTDSが大好きで、わざわざ日本まで連れて行ってくれました。もちろんミスティックリズムも観ました。いいショーでした。
でも、私が10歳の時に母が亡くなり、その後TDSへは長年行かない状態でした。
母の願いで、ハイスクールに入ると同時にカリフォルニアのディズニーリゾートでキャストになりましたが・・
・・・そのとき既に母はいませんでしたが・・・・
再びTDSへ行くようになったのは、WDFR日本支社のメンバーになってからです。」
「ありがとうケビン、悲しいことまで思い出させてしまったわね。
ところで、ケビン?おかあさんから何か大切なものをもらわなかった?」
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