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単刀直入に言います。
Nさん!あなたを延命します。
4日後ロケチェンしてオンステージに一日のみ復帰してください。」
彼は驚いてこう言った
「延命なんて人の寿命を操作しても良いのですか?私はそんなこと望みませんが・・・」
ケビンは厳しい表情で言った
「あなたもキャストなら理解できるはず、
我々のミッションは『すべてのゲストにハピネスを提供すること』です。
あなたに選択の余地はありません。延命を受けてもらいます。」
彼は不本意ながら了承し、ケビンからの指示書を受け取り当日の朝を向かえた。
指示通り早朝にロケチェンし、最低限のフォローアップを済ませ10年ぶりにオンステージキャストとしてレイジングにスタンバイした。
程なく事前に聞いていた彼女の来園時刻が来た。
しかしその時刻には彼女達は現れなかった。
そして、とうとうその日の閉園まで現れることはなかった。
きつねにつままれたような思いでその日の仕事を終えた彼は、ワードローブへ向かう。
すると後ろから呼び止める声が
「Nさん、事態が変化しました。今から同行願います。」
ケビンだった。
「どこへ?」
と彼が質問するのに答えることもなく、準備された車に彼を乗せ走り出した。
浦安ICから首都高湾岸線に入った頃、車の中でようやくケビンが口を開いた。
「困りました。我々が予測しなかったことがNさんの延命により起きているようです。
実は彼女は未だに意識が戻らず昏睡状態が続いているらしいのです。先ほどWDFRのカード管理室より連絡が入りました。
このまま彼女が回復しないともう二度と会えなくなるかも知れません、ですので直接彼女が入院している病院へあなたを連れて行き面会願いたいのです。
いつも突然で申し訳ない。」
「いいえかまいません」
と彼は静かに微笑んだ。
しばらくして病院へ到着。すぐさま病室へ向かい彼女に面会する。
集中治療室で横たわる彼女の姿、傍らには母親がたたずんでいる。
母親は予期せぬ訪問者に一瞬驚きの表情を見せたがすぐにその訪問者が誰なのかを理解した。
「わざわざお越しいただきありがとうございます。本当はきょうTDSへ行くはずだったんですが・・・。
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