~ ミクシィ ~

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~ ミクシィ ~

〈2050年8月10日 フロリダ〉 WDFR本部の会議室にケビンはいた。 この日は月一回の報告会で、世界中、そして過去未来に飛び回っていたエージェント達が一堂に会することになっている。 「ねえ、ケビン!さっきから何ボーっとしてるの?」 と隣の席にいるフランス支社のドロシーが声をかけてきた。 「いや!別に」 と彼は気のない返事を帰した。 ケビンは先月の活動報告を前にし、日本で体験した『年老いたキャストN』と『少女』の不思議な出来事を思い出していた・・・ 「おれのサービスリカバリーは失敗だったんだろうな。 結局は彼女とNさんを生きて会わせることができなかった。 もっと別の良い方法があったのか・・・・・」 きょうの報告でどういう説明をすればいいのかを悩んでいた。 実は、ケビンはきょうの報告に向けてレポートをまとめるにあたり、Nと悲しい別れとなった少女のその後について気になり、情報を集めようと考えた。 しかし、フューチャーライドカードを使用し終えたゲストとの関わりや個人情報の取得は禁止されており、調査活動を断念せざるを得なかった。 ただひとつ、後日TDR本社経由で届いた少女からの手紙に書かれていた内容から、その後彼女がTDSのキャストになったということだけはわかった。 その時、会議室に一人の年配の女性が入って来た。 「おい!ミセス・ミクシィ・バウワー登場だぜっ!」 アメリカ支社のアンディが言った。 ミクシィ・バウワー・・・ 彼女は、日本生まれの生粋の日本人だったがフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの社員であったアメリカ人のバウワー氏と結婚しアメリカ籍になった。 ケビンが所属するWDFRは彼女が創設し自ら本部長を務めている。 40歳代であろう彼女は女性とは思えない存在感と威圧感を漂わせる。 仕事に対しての厳しさから、多くのスタッフに恐れられる存在でもある。
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