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ミクシィが口を開いた。
「きょうはいつもの会議とは違い単なる報告会ではありません。
このことを始めに言っておきます。
そして、きょうは重要なことを皆さんに伝えなければなりません。
その重要なこととは、このWDFRを本日限りで解散すると言うことです!」
会議室内にどよめきがおこった。
ケビンも意表をつかれ、口をあけたままミセス・ミクシィを見つめた。
・・・・・・
ミクシィが続ける。
「私がWDFRを創設したのが5年前ですが、この部署を作る構想は10年以上も前から持っていました。
それが実現できたのはタイムトラベルの技術が5年前に完成したおかげです。
我々ウォルトディズニーグループでは日々多数のゲストが悲しい体験をしたままパークを後にしている現実があります。
しかしこれは、ディズニーのフィロソフィー『すべてのゲストにハピネスを提供する』に反することです。
些細なこと、例えばゲストが自分の不注意でこぼしたポップコーンをこぼした分だけ補充するようなサービスリカバリーはキャストの日常業務として実行しているのはもちろんです。
ところが一方ではフューチャーライドカードを持って再来園したゲストに対して、カードを受け取ったときの思い出と、再来園まで大事にしていた期待に応える体験を私たちが提供できているのかという疑問も常にあります。
私はウォルトの意志に従い、せめてフューチャーライドカードのゲストだけは100%幸福な気持ちでパークを後にしてもらうと決意しました。
そして、この組織を創りました。
創設から5年間の活動では多くのゲストの悲しい体験をリカバリーして幸福に変えてきました。この成果はここにいるみんなのおかげです。
ありがとう。
でも、最近新たな疑問が生まれてきました。
というのは、ディズニーのパーク内にいるゲストは、滞在中は自分の人生とは違う『非日常』の夢のような時間を過ごしているだけなのだろうかと・・・・。
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