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マズかったね!
ズかったね!
かったね!
ったね!
ね!
ね、ネ、ne
──果たして残響は空耳だったのか。
プツリと、リッキーの中で何かが切れた。同時、人格を構築する理性という名の壁が音を立てて瓦解していく。
──「あとであれ、ひどいんだかんねッッ詳しくは言わないけど!」──
──やかましい──
空っぽになった皿が散らばるテーブルを見て、なんだこれはと熱が湧く。
──「何って。あさごはんだよリッキー」──
──やかましい──
床に落ちた野菜根菜果物の残骸を見て、煮えたぎるようなどす黒い何かが沸々と胸中にこみ上げる。
──「ぬふっ。あさごはんは体にいいこと山の如しッ」──
──や か ま し い──
この時リッキーは、はっきりと理解した。
重苦しく、さりとて熱を帯びたこの昂揚感の正体を。胸中渦巻くどす黒い何かの正体を。
これが《怒り》だという事を。
抑えねばならないのは重々承知している。齢二十四にもなる大人が、傍目(はため)、十にも満たないであろう子供に向かってこの感情をぶつけるなど。
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