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ただ、勝手に食糧を漁っておきながら最後に放ったその一言だけは、例え悪気が無かったとしても許されるものではなかった。
残念無念。幼女が悪い。
「────こんの糞ガキャアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
旭陽(きょくよう)。
東の空の太陽が完全に顔を出した。
屋内に留まらず、山中に響き渡るリッキーの怒号。途中、「いまに大変な事になるんだかんねッ!」というささやかな抵抗もあったが、リッキーの咆哮によって掻き消され。
山腹を覆っていた霞は、薄く途切れて流れて失せた。
そんな朝の一折。
こうして、災難以外の何物でもない精霊と現実に直面する羽目になった青年リッキーの一日は、早すぎる開幕を迎えたのだった。
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