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「……お前さー分かってんの? 六日連続だよ六日ぁ」
「あのねリッキー、石上に座るとお尻が痛いというコトワザがあってね!」
「それは石の上にも三年と言いたいのか? 慣れろってか? この惨事に慣れろってか?」
「ぬふっ。うさぎのつの! 早起きは三分の得!」
「よし帰れ」
そう言い放つと共に小屋の扉をパタン。
閉扉(へいひ)の際、「ぬふ! ちょっと待って」と聞こえたような気もしたが、リッキーは空耳(そらみみ)か何かだと簡単に自己完結させて再びベッドに戻った。
しかしながらベッドといってもそれほど立派な代物ではなく、切り倒した木を組んでその上に藁とシーツを被せた大雑把な物である。
他の家具もそうだ。
室内中央にあるテーブルは、集積した木の端材(はざい)に丸く切り取った板を上から乗せて固定してあるだけだし、ベッド横に設置された引き出しは収納部分こそ綺麗に設計されているが、外見は表皮を剥いだだけの木材で。
しかし暖炉と窓だけは材料から造形までしっかりと形成されていた。
そんな大味な家具に囲まれた山小屋も住めば都というか。
リッキーにとっては住み慣れた我が家だ。
ただ、快適であったのも前の話。そう、ついこの間(六日前)までの。
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