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幼女が初めて押しかけて来た日も、今日と同じく夜明けと同時だった。
しかも鮮やかな桃色のポニーテールと何だかよくわからない露出多めな格好で登場するものだから、寝覚めの脳には衝撃が強い。
始めは、何とか売りの幼女のような雰囲気で来たから、じゃあ話だけでもと眠い体に鞭を打ったリッキーだったのだが、よくよく聞けばなんのことは無い。
あの幼女は精霊である。
ヒトの力を糧に生きる高位生命体。それが精霊。
精霊はヒトと契約を交わすことで、より強い生命力を得る種の生物だ。
力の総称は『魔力』。
元来、精霊は自然界で発生する力を得ながら、森の奥地や高山にひっそりと暮らす生物である。
しかし稀に自らが好む力を保持したヒトが出現した時、精霊はその地まで赴いて契約を行う事がある。
契約が持つ意味は双方で違うが、ヒトは精霊の力を借りることが出来、代わりに精霊は寿命と若さを得る。
このような事情により、リッキーは精霊に契約を迫られているのだ。
リッキーは仰向けになりながら天井を見つめ、これまでを振り返る。
勧誘自体は今に始まったことでは無い。
契約を蹴り続け、早八年。
別に自分の魔力が惜しい訳でも無い。事実、魔力とは、ヒトの生命活動に於いて何か利便性をもたらすエネルギーでは無かったからだ。
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