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「ごめんね。気をつけつけるね。心配してくれてありがと。 買い物行こうか?」 そう言って総司の腕に私の腕を巻きつけて手を握ったら、 沸騰しそうなくらい紅くなっちゃった。 可愛いなぁ。 「里香…もうちょっと離れてよ。」 「なんで?いいじゃん。人がいっぱい居すぎて迷子になっちゃいそうなんだもん。」 くっついたまんま買い物に来たんだけど、 総司は全く喋らなかった。 やっと出た言葉が離れてよ。だって。 離れてやらないよー。 もじもじしてる総司可愛いし、 迷子になりそうなのは本当だし。 いつも強気な総司がこんなに大人しいなんて、 面白いじゃない。 洗濯手伝わなかった罰だよ。 あの店可愛いね。とか、美味しそうなの売ってるね。 って上目遣いで話しかければ、 いつもより近い距離にプイってそっぽ向いちゃう。 耳まで真っ赤にして。 ずっとそのまま、着物買うのにちょっと離れても 済んだらすぐにくっついて。 いっぱい話しかけても、完全無視。 ちょっとやりすぎた? 私一人でニヤニヤして歩いてたら屯所の近くまで来て 握ってる総司の手に力が篭った。 あ、やっと慣れてくれたのかな? 自分からくっついといて、 華奢ながら力強い手に少しドキッとしたりして。 総司を見上げたら、前を見て口元に少し笑みを浮かべてる。 なんだろうって私も総司の目線を追ったら、 見廻りに出るところの一君が見えた。 .
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