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「何にも無いっ!」
「無いって何が?」
美少年が可愛らしく首を傾げる。
イケメンの刀を握る手に力が篭ったのがわかって
冷や汗が背中を伝った。
「いえ…もしかしたらもしかして、
今は平成ではない…なんてことありませんよね?」
「へいせい?なにそれ?
さっきから不思議な事を言うねぇ?」
平成じゃないなら何?
他に何があるっていうの?
イケメンの視線が痛いよ。痛すぎるよ。
「今は…一体何年ですか?」
「何年って、元号の事?それなら、今は元治元年だけど、
そんなことも知らないの?」
元治元年?
なにそれ。教科書でも見た記憶無いよ?
「総司…こんな女に構っていては埒があかない。
戻るぞ。」
イケメンはいつのまにか刀から手を外して腕組をしながら
総司とう言う名前らしい美少年に言う。
「でも、この子どっかおかしいから、屯所に連れてっちゃおうよ。」
どっかおかしいって…美少年中々の辛口。
屯所に連れてくって…屯所って何?
私を横目にちらちら見ながら二人は何やら相談事を始めた。
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