その声で…‐碧×紅蓮‐(未完)

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数人の男子学生が群がる中に見えたのは、何かに抵抗する素振りをみせる一人の男子学生。 やっぱり虐めか… と呆れながら見ていると男子学生軍の中の一人が怒鳴る声が聞こえた 「てめぇ、いつまで話さない気だ?……ちっ。お前って相手が男でも大丈夫なんだってなぁ……おぃ、おまえら…こいつを押さえ付けておけ」 ガチャガチャとベルトを外す音。が聞こえるような気がする。 碧は黙って様子をみていた。いや、目が離せなかったのかもしれないが。このあとどうなるのかが気になって仕方がなかったのだ。 「くわえろ…」 「―――……っ!!」 嫌がるそいつを無視して数人で手足を押さえる。リーダーと思われる男のソレを拒むことができない。何かを飲まされ、壊れていくそいつを碧はどこか楽しみながらじっくり見ていた。 ばちっ 「!!!」 赤みがかった瞳と目があった。 どこか助けてほしそうだが、不思議な感覚だった。あろうことか、欲しいだなんて思ってしまったのだ。 「お前らなにしてんの」 碧が一歩前にでる。 別にチンピラが怖いわけでもないし、喧嘩が弱いわけでもない。助けようと思えばいつでも助けることはできた。 「あ?なんだてめぇは」 「こんな所でそんなことしてっと後々大変になるよ?」 「うるせー!!」 「いいの?今から体育科の弁天先生がこっちに来るのに……見つかったら退学だけですむかな?」 「くっ……いくぞ…おめぇら」 舌打ちしながら退散するチンピラ共を見送ったあと、だらしなく脱がされたそいつと目が合った。 「俺が見てたの分かってただろ。なんで助けてと言わなかった」 「…………」 相変わらずだまるそいつの顔には見覚えがあった。同じクラスの………たしか… 「お前……紅蓮か」 「………」 今更かよという目をするものの、話そうとはしない。いや、話せる状況ではないようだ。自分の身体を起こすこともできず、息が上がっているのが分かる。 辺りを見回すと栄養剤のようなビンが転がっていて、どうやら媚薬が入っていたらしい。 「飲まされたのか」 そう聞くと、紅蓮はコクッと頷き 「だっ……から………君……は…もう帰っ…て……」 初めて聞いたその声で 俺は変わってしまったのかもしれない
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