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本当に、穏やかな民なのだ、ホニン族というのは。
大国…ロランやアルドラド、ギリムといった国々からちょっかいをかけられながらも細々と暮らす小さな国の小さな民。
差別のある世の中のためにどんなに良いものを作ろうと『ホニン族のもの』と買い叩かれ。
重要な魔石の細工の大半を担いながらも豊かさで言えばワーストに近く、自然の産物に何時も助けられている、そんな国。
穏やかで争いを好まず、『良いものを作ればいつか認められるさ』と笑う彼ら。
そんな彼らにもたったひとつだけ野望があった。
小さすぎる、野望が。
『いつか一族の中から一人魔法学校ペンタクルに入学させる!』
ペンタクルは、魔法連…国際魔法連盟、つまり魔法を取り締まる最高機関の議員を多く排出する名門校だ。
ただその分だけ、差別も多い。
入試は筆記と実技、適性検査とみっつで、大抵の場合ホニン族は最後の適性検査で落とされる。
ペンタクルはもう300年以上前からある古い学校だが、未だ一人も受かってはいない。
明らか過ぎる意図が有りながらも、彼らはそれを恨むことをしなかった。
『緊張でもしたんだねー』、そう彼らは笑うのである。
そして、思う一念磐をも通す。
遂に、彼らの念願の合格者が出たのである…。
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